まあでも、田中兄妹を信用して悪いことは無さそうだ。
本当に、二人は私のために色々と行動してくれる。

正直言って、まだ『慣れない自分』を誰かに見られるのは抵抗があるけど、不思議と私の心もスッキリした気がするし。
海ちゃんや孝太くんもいるから、少し安心して何だか少し前の自分に戻れた気がするし。

・・・・・・。

でもやっぱり恥ずかしいからやだ。
自分への視線をさらに感じるようになったから、私は真奈美さんから離れると、また病室から出て隠れる。

変わろうとする自分はやっぱり抵抗がある。

「ほらほら空ちゃーん!また隠れていないで出てくる」

「嫌です!」

また病室に連れ戻されると思ったけど、真奈美さんは諦めたのか今度は私を追うことはなかった。
呆れた表情で、病室から出る私を優しく見つめている。

何だか『呆れた妹だ』と言っているみたい。

部屋の中ではお見舞いに来てくれた海ちゃんや孝太くんと話す誠也さんの声が聞こえた。
久しぶりに会う海ちゃん誠也さん。

それと初めて会う孝太くんと誠也さんは挨拶を交わしている。
誠也さんが目を覚ましたから、二人はお見舞いに来てくれたのだろう。

多分真奈美さんに呼ばれたのだろう。

そんなみんなの姿を見て、私も混じって再び会えた誠也さんと話したいけど、やっぱり恥ずかしい。
変な気持ちが溢れて素直になれない私がいる。

これ、何て言う気持ちなんだろうか・・・・・。

「おーい!空ちゃんもおいで」

そんな明るい誠也さんの声を聞いて、私はようやく部屋に入った。
顔を赤く染める私はゆっくりみんなに近付く。

そして誠也さんの近くに行くと、すぐに誠也さんは怪我をしていない左手で私の腕を掴んできた。
まるで『もう逃がさないよ』とでも言うような暖かい温もりが誠也さんから伝わってくる。

本当にそう言うところはズルい人だ・・・・・。
「空ちゃんはここ最近、何していたの?」

誠也さんの問い掛けに私は小さな声で言葉を返す。

「何も、してないです」

「そう。みんなには迷惑かけてない?」

「・・・・・」

迷惑かけてばっかりです。

そう言いたかったけど、今の私には言葉が出てこなかった。
言葉にするとまた私の心に潜む苦しさが襲ってくる。

でもこれを見越して、誠也さんは私に説教を始めてくれる。

いつもの『優しい表情』で、私と向き合ってくれる。