時刻は夜の八時を回っていた。

面会時間が終わったから、私は武瑠に笑顔を見せて病室を出る。
そして家に帰る。

辺りは真っ暗。
賑わっていない私の住む街には街灯は少ないし、明かりを照らす車も少ない。

この時間になれば歩く人も殆どいないから、なんだかまるで『私だけが住む世界』に来てしまったような感覚だった。
落ち着いているこの夜の街は、私は大好き。

家まで少し遠く、病院から歩いて二十分くらい。
バスも本数が少ないから、待ち時間や乗車時間を考えたら、歩いて帰った方が早い。

何よりお腹が空いたから、早く帰りたい。
早く帰って、お父さんのご飯を早く食べたい。

お父さん、『料理人』だからお父さんの料理はどれもすっごく美味しいし。
今日の晩御飯はなんだろうか。

そういえば今日のお昼は、北條さんと小坂さんに私の弁当を捨てられたから何も食べてない。
朝も食べずに学校に行ったから、本当にお腹が空いた。

よく考えたら今日一日何も食べてないし・・・。

だけど、ご飯の前にお父さんに謝らないと。

『お弁当を落としてしまって食べれなかった』って、ちゃんと言わないと。
謝らないと。

お父さん、いつも朝早くから私のために行動してくれるし、毎日欠かさずに私のお弁当を作ってくれるし。

そんなお父さんの気持ちを踏みにじりたくないし・・・・。

だから『お弁当、今日食べれなかった』ってちゃんと伝えないと。
お父さんに申し訳ない。

・・・・・・・・。

って、そうじゃないよね・・・・。