お父さんは私のヒーローのような存在だ。

困っている私を元気にさせてくれる、私だけの正義のヒーロー。

私が小学生一年生の時、泣きながら家に帰ったことがあった。
お父さんは仕事で家にいなかったけど、家で仕事をするお母さんは私の姿に少し驚いていたっけ。

いつも無愛想な私だったし。

私が泣いていた理由は、お父さんに買って貰った『小さなハムスターのぬいぐるみ』を無くしてしまったから。
いつも私の青いランドセルに付けていたのに、いつの間にかそれは無くなっていた。

だから私、一人で一生懸命探してみた。
暗くなるまで一人で探してみたけど・・・・・結局見つからず。

お母さんを巻き込んで、また色々探したけど・・・・。

お母さんに『もう諦めよ』って言われた。
その時は私も諦めて家に帰ったっけ。

でもやっぱり諦められない私。
私にとって『たいせつなもの』だから、簡単に諦められない。

だから私、夜中に遅くにお母さんに内緒で家を飛び出した。
本来ならもう寝ている時間なのに、私はパジャマで家を出た。

産まれてすぐの武瑠を寝かせるお母さんの目を盗み、そしてまた一人で色々探したけど・・・・。

・・・・・。

結局また見つからず。

小学校への通学路を何度も歩いて探したけど、全然見つからなかった。
道端とか他人の敷地内とか、とにかく探し回ったけど、全く見つからない。

だから仕方ないから、『今度こそ諦めよう』としたけど・・・・・。

「きゃ!」

暗闇だから近くに段差があることに気が付かず、私は足を踏み外した。
この辺りは街灯は本当に少ない。

こけて怪我する程度ならまだ良かった。
家まで歩いて帰れれば、怪我の一つや二つなんて別に負っても良かった。

でも私、足も痛めて、歩けなくなってしまった。
激痛が襲うから、立ち上がることすら出来ない、当時小学一年生の私・・・・・・。