武瑠を頼りたいと私は素直に思った。
だってこんな私のために力になってくれる弟なんだもん。

頭もいいし、武瑠なら私の『味方』になってくれる。
どんな時も武瑠は前向きだから、私を言葉で励ましてくれる。

でも武瑠はあと少しの命。
正直言って、武瑠は巻き込みたくない。

最後まで武瑠には『自分のため』に人生を歩んでほしいし。
最後まで笑って欲しいし。

・・・・・。

って、そんなことを武瑠に言っても、納得してくれないよね。
武瑠も『悲しいお姉ちゃんの顔』を見て死にたくないと思うし。

どうせなら、『笑ったお姉ちゃんの顔』を見たいと思うし。

友達と一緒に笑う私を、武瑠も見たいだろうし。

・・・・・・。

だったらちょっとは私も頑張らないと。
嫌と言っても明日は来るし、世界は回り続けるから私も前に進まないと。

自分に負けてられない。

辛いと言っても仕方ない。

「ありがと武瑠。お姉ちゃん、頑張るね」

「おう!なんかあったらもっと相談しろよ!姉ちゃん、オレがいないと何にも出来ない『ダメ姉ちゃん』だからな」

「ダメお姉ちゃん言うな!まあ否定はしないけど・・・・」

武瑠はまた笑ってくれた。
私も負けずと武瑠に笑顔を見せる。

と言うか私、いつの間にかまた笑っているし。
これも元気で明るい武瑠のお陰だよね。

今の武瑠、まるで私の暗い心を照らしてくれる暖かい太陽の光みたい・・・・。

それから私と武瑠は、遅くまで仲良く話した。
お互い笑顔が耐えることなく、面会時間ギリギリまで言葉を交わした。

『ダメなお姉ちゃん』とよく武瑠にからかわれたけど、『それでもいいかな?』って納得する自分もいた。

だって私、武瑠の言う通りダメなお姉ちゃんだし。
何にも出来ないバカな武瑠のお姉ちゃんだし。

でも私にはしっかりした弟がいるから気にしない。
私がダメな時は、武瑠が助けてくれるんだし、武瑠がいるだけで今の私はどんな辛いことがあっても幸せだ。

だから、これならきっと明日も頑張れる。
明日も乗り越えられる・・・・・。