いつの間にか私の目には涙が溢れ、視界がぼやけ始める。
武瑠の前なのに『私は何やっているんだろう』、『なんで泣いているんだろう』と自分を責める。

ってか、泣く資格なんてないのに。
友達を見捨てたのだから、いじめられて当然なのに。

そんなお姉ちゃんを見た武瑠の表情は変わらない。
目の前で泣き始める私を、深刻な表情で見つめている。

「泣き虫な姉ちゃん。いっつも泣いてるよな」

「ご、ごめん」

武瑠の言葉に私は慌てて涙を拭う。
頑張って笑おうとするも、うまく笑えない。

そんな私は更に追い詰められる。あ
る意味、九歳の弟に手のひらで踊らさせる。

「もしかして学校でいじめられているから?」

武瑠に言い当てられて、私は言葉を失った。
同時に涙もまた溢れ出す。

でも当てられた以上、否定することは出来ない。
今の私には強がることすら出来ない。

だから私、今の気持ちを素直に答えた。
吐き出すように武瑠に伝える。

「私、今が辛い。早く死にたい。大好きな北條さんと小坂さんにいじめられて、もうどうしたらいいのか分からない」

私の言葉に、武瑠はポタポタと落ちる私の涙を眺めながら驚いた表情を浮かべていた。

まあでも、お姉ちゃんが『いじめられている』って知ったら、ビックリするもんね。

お姉ちゃんが『死にたい』って言っていたら、心配してくれるもんね。

「バカ姉ちゃん!なんでもっと早く教えてくれなかったんだよ!」

怒る武瑠の表情に、私は思わず目を逸らした。
同時に小さな声で謝る。

「ごめん、武瑠・・・・・」

そして私は窓の外の暗い夜の景色を見ながら、『本当に心の底から情けないお姉ちゃんなんだ』と何度も自分を責めた。
同時に涙をまた一つ落とす。

本当に私、バカみたい・・・・・。

だけど武瑠はそんな情けないお姉ちゃんを励ましてくれる。
いつの間にか武瑠はチャームポイントである『笑顔』をお姉ちゃんに見せてくれる・・・・。

「でも大丈夫!オレが姉ちゃんを守るから!だから困ったことがあったら、いつでも相談してくれよ!オレ、困っている人の顔が大嫌いだからよ。姉ちゃんにはそんな顔して欲しくないし。オレと一緒で笑って欲しいし」

武瑠は更ににっこりと、私を見て笑った。
本当に武瑠笑顔が似合う。

と言うかこれ、もうどっちが年上なのか分からないよね。
まるで武瑠の方がお兄ちゃんみたい。

・・・・・・。