「お前、笑った方がいいのにな。無愛想な空なんて誰も見たくないぞ」

無愛想?
それはちょっと許せないぞ。

「う、うるさい!好きで無愛想なんかじゃないし」

孝太くんに必死に反論する私の姿が面白かったのか、性格の悪い海ちゃんは今度は私をターゲットにする。

「ねぇ知ってる?孝太くん。空ちゃん好きな人がいるんだよ。その人の前じゃずっと笑ってるの」

「まじか!誰だ?」

恋愛事には敏感な孝太くん。
目を輝かせて、今はただただ『ウザい』だけ。

だから私はムッと意地を張る。
同時にうっかり墓穴を掘ってしまう。

「うるさい!誠也さんは関係ない!」

私の言葉に、目の前の二人は無言で顔を合わせていた。
そして暫く変に静かな空気が流れた後、二人は笑い始める。

海ちゃんは笑って私をバカにする。

「空ちゃんてアホだよね!あはは!」

アホ。
その言葉が気に入らないが、その前に私の中に恥ずかしさが込み上げてくる。

いつの間にかリンゴのように顔が赤く染まる私。

同時に後悔していた。

『なんで誠也さんの名前を出してしまったんだ』って・・・・。
『なんで自爆してしまったんだ』って・・・。

恥ずかしいから、私は二人を置いて歩き出す。

「私、帰る」

「ごめんごめん!ってか早くいこ!」

後ろから抱きながら、私に謝る海ちゃん。
同時に私の足も止まる。

そして私はそんな海ちゃんを振り払おうとするも、意外と海ちゃんの力が強くて逃げれない・・・・。

それと孝太くんも海ちゃん同様に謝っていた。

まあ、二人ともちょっと笑っているけど。

・・・・・。

「もう」

呆れた私は大きなため息を一つ吐いた。

なんだか『またいつの間にか誰かに支えられている』って感じながら・・・・。

一度教室に戻って、海ちゃんの鞄を持ってから学校を後にする私達。
向かうのは、学校の近くにあるショッピングモールだ。

昨日と同じところ。