今日の私の予定は特にない。
帰って一人になろうと思ったが、私は孝太くんの隣に腰掛けた。

あまりよくないけど、私も廊下の上に腰を下ろす。

孝太くんの真似して、らしくない私。

海ちゃんの力になりたいと思う私。

そんな私の姿に少し驚いた表情を見せた孝太くん。
でもすぐに小さく微笑むと、私に話し掛けてくれる。

ストレート過ぎる話題で話してくれる。

「俺さ、海のことが好きなんだ」

「えっ?」

孝太くんは海ちゃんが好き。
そう理解したら何故だか顔が赤くなる私。

まあでも、いつも一緒だし。
そんな感じはしていたけど、言葉にするとなんだか凄い。

不思議な気持ち。

って、なんで私が赤くなってるんだろ?
自分でも意味わかんない。

そんな私を気にせず孝太くんは続ける。

「『腐れ縁』ってやつ?海とは小学生からずっと一緒でさ。今もずっと一緒。まあ、俺が勝手に海を追いかけているだけたんだけど。アイツが『ここの高校に行きたい』って言うから、俺もこの高校に決めたようなもんだし」

「どうして海ちゃんが好きなの?」

私の少し意地悪そうな言葉に、孝太くん躊躇った。
でもすぐに優しい表情を私に見せて答えてくれる。

「実は俺、小学生の時にいじめられていてさ。海が助けてくれたんだ」

「えっ、そうなの?」

正直言って意外だ。
私と違って孝太くんは明るいし、友達も多そうだし。

なんて言うか、大きな体に体育系の男の子だから、スポーツ関係の友達も多そうだし。

と言うかいじめられる要素なんて無さそうだし。

でもそれらは私の勝手な孝太くんのイメージ。
現実の孝太くんは全く違った。

おもむろに孝太くんは自分の携帯電話に入った写真を、私に見せてくれる。

「ほらっ、昔の俺。可愛いだろ?」

可愛いと言う言葉に私は一瞬躊躇ったが、孝太くんの携帯電話に移る男の子の姿に、私はただただ驚く。

「えっ!本当に孝太くん?」

「やばいだろ?今と昔の俺のギャップ。筋トレとかしまくったら、こうなった」

「凄い・・・・」

孝太くんが見せてくれたのは、少女にも見える可愛らしい顔立ちの小学生の男の子写真。
髪も女の子のような長い髪型で、服もピンク色だから、女の子みたいに可愛らしい。

でもその男の子の正体は今目の前にいる大きな体の孝太くんらしい・・・・。
体格も雰囲気も見た目も全く違うけど、よく見たら顔は孝太くんにそっくりだった。

ちょっぴり可愛いと思うようになった、目の前の孝太くんの顔立ち。

と言うか、漫画の世界みたいだ。
どうしてこんな可愛い女の子みたいな男の子が、スポーツマンのような体のイケメンになっちゃったんだろう。

なんか勿体ないと思う私もいる。

一方で孝太くんは更に『昔の出来事』について話してくれた。
自身の『過去』を話してくれる。