私の班の生徒は、不思議と私に優しかった。
何かあればすぐに私を頼ってくれる他のクラスの生徒達。

お母さんと一緒に料理をやっていた経験があるし、お父さんに包丁の使い方を学んだことがあるから、ある程度の事はこなせる私。

だからいつの間にか、私がその班の『リーダー的な存在』になっていて、不思議と重たい口も開いて班の仲間に指示を出していた。
口数は多くないけど、他のクラスの生徒達と話ながら調理を進めていく私達の班。

そしていつの間にか、今日のメニューであるハンバーグは完成していた。
他の班よりかなり効率がよく素早く出来て、見た目もいい。

調理科の太った女の先生にも不思議と褒められた。
『言うことないし、見た目や効率は満点だ』って、先生は言ってくれたっけ。

と言うか褒められたなんていつ以来だろう。
誉められたことに対して、全く覚えていない私。

後片付けも素早く終わらせた私の班は、一足先に試食に入った。

調理していた台を綺麗に拭いて、目の前には私達が作った焼き上がったハンバーグを囲む。

そして名も知らない生徒達と話ながら、私達は作ったハンバーグを食べていく。
仲には一年生の時に同じクラスになった生徒もいるが、全く私の事を覚えていないとか。

『美柳さんって二年生になってから転校してきたんじゃないの?』ってからかわれた。

何だかちょっとだけ不思議な気分になったっけ。私は正直言ってちょっと楽しい。

でも・・・・・。

私達の隣で、『最悪な出来事』が同時進行していた。