「テメー、昨日の恨みか?」

北條さんは冷たく、短く答える。

「そう。悪い」

「頭おかしいだろ!」

もう一度北條さんの机を叩く孝太くん。
目は血走っている。

友達の海ちゃんが酷いことをされて、許せない孝太くん・・・・。

でもそんな孝太くんを止める海ちゃんがいる。

「孝太くん!」

泣きそうな気持ちを噛み殺したような海ちゃんの声に、孝太くんは舌打ち。
そして孝太くんは教室にいる全員の生徒の視線を浴びながら、黒板の文字を消していく。

後が残らないように、何もなかったかのように消していく。

それと孝太くん、黒板の文字を消し終わると、二階の窓から飛び降りた。
バスケ部だからか運動神経がいいのか分からないけど、彼は二階の高さから飛び降りても見事に着地。

そしてその後は海ちゃんの散らばった教科書を拾い上げると、そのまま海ちゃんの机と椅子を持って教室に戻ってきた。

スッゴく悔しそうな表情を孝太くんは見せながら・・・・。
ちなみに北條さんの隣には、携帯電話でゲームで遊ぶ小坂さんの姿。
こんな状況でもゲームに夢中な小坂さん。

ある意味凄い。

でも少し呆れたような表情に見えるのは気のせい・・・かな?

こうして孝太くんの行動で、まるで最初から何もなかったかのように教室は元通り。

海ちゃんは顔を引きずりながら、孝太くんが拾ってくれた自分の席に座った。
汚れた教科書やノートを一緒に拭いてくれる孝太くんが慰めてくれる。

少ししてから、担任の松井先生がやって来た。
体育科の先生らしく、いつものジャージ姿。

そして松井先生が教室に入ってくると同時に、今日一日が始まるチャイムが鳴る。

「はい、席について。出席とるよ」

いつものやる気のない声で、生徒達の名字を読み上げていく松井先生。

「今日の周知事項は特にないから解散。一限目は体育だから遅れないように」

そう伝えると同時に、あっという間にホームルームが終わる。
教室に用がなくなった松井先生は素早く教室から出ていくと、教室内は再び休み時間のように騒ぎ出す。

次の授業である体育のために、準備する私のクラスメイト達。

・・・・・。