一人でいることが好き。
不思議と誰かと一緒に居たいと思ったことはあまりない。

昔からそうだった。
私はクススメイトの輪に入らず、いつもひとりぼっち。
休み時間や登下校も、小学生の時からいつも一人。

理由をあえてあげるなら、『人が怖い』からだと思う。
誰かが近くにいると、心が不安になる。

周囲から聞こえる笑い声は私にとっては、ただの『ノイズ』のようなもの。
だから人が近くにいると、私は頭痛に悩まされる。
授業になんて全く集中できていないし、ずっと苦しいだけ。

それはまるで『私のいるべき世界じゃないよ』って、遠回しに教えてもらっているようなもの。
私の視界に写る知らない人やクラスメイトはみんな敵。

逆に言えば、信頼できる人なんて、誰一人とクラスにいない。

そしてそれは今日もそうだった。
もうすぐ冬だと、寒さを感じるようになった十一月のとある日の出来事だ。

私の名前は美柳空（ミヤナギ　ソラ）。
近くの赤崎高校に通う高校二年生。

決して綺麗とは言えない長い黒髪に、オシャレなんてした事のない残念な容姿。
それに地味で暗い性格。

まるで、空気のような女子高生。

そんな私はいつもの暗い表情で教室に向かう。
登校して早々に、『早く帰りたい』と心の中で呟く。

私のクラスの教室には殆どの生徒が登校していて、楽しそうに『友達』と呼ばれる仲間と話していた。
何の話をしているのか、私には全くついていけない内容。

そんなクラスメイトに気付かれないように、私は静かに影を消して教室に入った。
同時に自分の席へと向かっていく。

教室の端である窓側の、前から二番目の席が私の席だ。
窓側とあってか、結構お気に入りの席。

扇風機やエアコンのない教室のため、窓側の席は真夏の涼しい風が私を癒してくれるし、冬は暖かい日射しが差し込んで少しだけ暖かい。

ある意味最高の席だ。
授業に集中出来なくても、窓の外の殺風景な裏庭を見ていれば時間は一瞬で過ぎちゃうし。

でも、今日はその席がない。
ポッカリと私の机と椅子だけがなくなっている。

周囲を見渡しても、いつも座る私の席はどこにもない。

同時にクラスメイトからノイズが聞こえてくる。
結局クラスメイトに見つかってしまって、ターゲットにさせられる・・・・・。