◆◇◆◇
電車に乗り、最寄りの駅から家まで全速力で走った。
紫織は宏樹と朋也の家の前に着くなり、肩で何度も息をする。
(宏樹君、ほんとにいるの……?)
胸を押さえ、呼吸を整えてから、紫織は玄関の前まで歩いて行ってインターホンを押そうとした。
ところが、緊張と疲れが一気に押し寄せてきたせいか指先が震えている。
一瞬、無理に今日じゃなくてもいいじゃない、と考えた。
しかし、ここで背を向けてしまっては、苦しい思いをしてまで走って来た意味がない。
紫織は気合を入れ直し、今度こそ押した。
ピンポーン、と外にまで響く。
少し待つと、玄関のドアがゆっくりと開かれた。
「――紫織?」
姿を見せたのは、宏樹だった。
「もしかして、卒業式終わった?」
宏樹に問われ、紫織は大きく頷く。
そして、一度息を大きく吸い込んでから、意を決して口にした。
「――宏樹君、約束、憶えてる?」
宏樹はわずかに目を見開いてから、「ああ」と答えた。
「ちゃんと憶えてるよ。――紫織が高校を卒業してから、だっけ?」
まるで他人事のように言っているが、確かにちゃんと記憶していたらしい。
紫織は宏樹の口から改めて訊くことが出来て、喜びを隠しきれなかった。
電車に乗り、最寄りの駅から家まで全速力で走った。
紫織は宏樹と朋也の家の前に着くなり、肩で何度も息をする。
(宏樹君、ほんとにいるの……?)
胸を押さえ、呼吸を整えてから、紫織は玄関の前まで歩いて行ってインターホンを押そうとした。
ところが、緊張と疲れが一気に押し寄せてきたせいか指先が震えている。
一瞬、無理に今日じゃなくてもいいじゃない、と考えた。
しかし、ここで背を向けてしまっては、苦しい思いをしてまで走って来た意味がない。
紫織は気合を入れ直し、今度こそ押した。
ピンポーン、と外にまで響く。
少し待つと、玄関のドアがゆっくりと開かれた。
「――紫織?」
姿を見せたのは、宏樹だった。
「もしかして、卒業式終わった?」
宏樹に問われ、紫織は大きく頷く。
そして、一度息を大きく吸い込んでから、意を決して口にした。
「――宏樹君、約束、憶えてる?」
宏樹はわずかに目を見開いてから、「ああ」と答えた。
「ちゃんと憶えてるよ。――紫織が高校を卒業してから、だっけ?」
まるで他人事のように言っているが、確かにちゃんと記憶していたらしい。
紫織は宏樹の口から改めて訊くことが出来て、喜びを隠しきれなかった。