「はい。美樹? おばあちゃんのところに何度も行ってるらしいね。おばあちゃんからお礼の電話があったわ」

 電話なんてしてたんだ。
 知らなかった。

 祖母は礼儀を重んじる人だ。
 私が来られたのは、母のお陰だと思っているのだろう。

「おばあちゃんの家が、無くなっちゃうのは嫌だからね。ところでさ。そのことでお願いがあるんだけど」

「あら。珍しい。美樹が私にお願いなんて」

 ずいぶん前から、母にも父にも何も望まないようにしていた。
 何か言ったところで変わるとは思えない人たちだから。

 けれど今回は私だけのことじゃない。
 村の存続に関わるかもしれないのだ。