深呼吸して、携帯を睨みつけていた。
 体中の筋肉痛がつらいせいじゃない。

 まぁすぐに筋肉痛になるのは、若い証拠だと思っておこう。

 睨みつけていたのは、母に電話を掛けようか迷っているから。

 母の仕事が結婚相談所で、良かったと思ったことは一度もない。
 からかわれるか、不憫がられていい思い出はない。
 恨んでいたくらいだ。

 それなのにその母の職業を頼るなんて。

 ただ田植えの時みたいに、街コン希望者をネットやチラシで募集して集まるのかは期待できない。

 背に腹はかえられぬって、こういうことを言うのかな。
 緊張の面持ちで電話をかけた。