「そういえば由美は?」

「由美かぁ。由美は、ね」

 琥太郎さんの時に、感じたものと同じ。
 これ以上は、聞いてはいけない空気を感じる。

 だから、私なりに考えた結論を、舞依に伝える。

「村を、出て行ったのかな」

 さすがに神隠しにあったとは思っていない。
 あれはただの言い伝えであって、祭りの儀式だ。

 二人の空気から会えないことと、話したくないくらい嫌なことがあったのだ。
 それを、村を出て行ってしまったのだと解釈した。

「う、ん。そうだね。そうかな。そうかもね」

 どうにも歯切れが悪い返事。
 寂しいけど、これ以上はもう聞けなかった。

 それにせっかく舞依と会えたんだから、話したいことは他にもたくさんある。