数日後、私はまた電車に揺られていた。

 外の風景は電車が進むにつれビルが消え、家が消え、人工物が限りなく減っていく。

 ゴールデンウィークの初日。
 真ん中の平日は、お休みになる会社で九連休。その初日。

 両親に押し切られ、祖母の家に向かっていた。
 あの後、父からも電話があったのだ。

「おばあちゃんが、美樹に会いたいって」

 父に言われると弱い。
 何が弱いって、無口なのに言いたい事は言う人だから。

 無口の電話の怖いことったらない。
 ただただ携帯のストラップが、私の貧乏ゆすりに合わせて揺れるだけ。

 ストラップにしている白い大小の花が、数度揺れたのを見た気がする。
 つまりは両親に根負けし、今に至るわけだ。