終わると、おにぎりと豚汁が振舞われた。
綾美と二人、親子連れや若者達から離れたところに座り、賑やかな様子を眺めた。
ほかほかと湯気を立てる豚汁は、具だくさんで嬉しい。
何気ないおにぎりもとても美味しく感じるのは、動いた後だからなのか、外だからなのか、はたまた大村だからなのか。
一緒に豚汁をすする綾美が、唐突に口火を切った。
「さっきの人が田舎に来るきっかけですか?」
にやにやと意味深に言葉を投げられて、豚汁でむせ返った。
ゴホゴホ咳き込む背中を「大丈夫ですか〜?」とさすってくれる。
「自分のおばあちゃんが、大村にいるから。心配だからよ。綾美が期待してるようなことは、何もないわ」
「本当かなぁ」と綾美は笑う。
せっかく美味しいおにぎりに豚汁なんだから、ゆっくり味合わせて欲しい。