「美樹さん。半笑いした顔、怖いです」

 後輩の葉山綾美に指摘され、肩を竦めた。

 仲のいい綾美と話すのは好きだ。
 人と接しないという後ろ向きな理由で選んだ仕事も、自分の手で形になっていく工程は好きだ。

 ここでの生活も十分に充実している、と思う。

 それなのに、今か今かと週末を待っている。
 予定が無ければ、毎週でも行きたいと思っているほどに。

「ゴールデンウィーク明けからおかしいですよ。休み中に何かありました?」

 意味深に微笑まれて「なんですか? 聞かない方がいいですか?」と余計に笑われた。

 だから私も、目一杯に意味深な雰囲気を醸し出して誘った。

「田舎に興味ない?」