このままテントで寝泊まりするというトモさんと別れ、琥太郎さんと来た道を戻る。
「変な人を協力隊に任命したかな。ネットは得意でSNSで宣伝も出来るって、うってつけだと思ったんだけど。」
肩を落としている琥太郎さんの背中は、いつもより小さくて頼りない。
だから少し強めに返した。
「何、言ってるの。軽い感じの人の方がすぐに馴染めていいんじゃない」
それでも、顔を上げた琥太郎さんの声は力ない。
「経歴と村の人達と面接した時は、いい雰囲気の人だったんだ。」
「そこに女の人は?」
「俺と後はおじさんばっかり」
「そういう人なんだよ」
軽いだけじゃなく、協力隊としてしっかりしていれば問題ないんだけどなぁ。
「問題を起こすような人だったら、早めにクビにするから。そういう契約だ」
急に勇ましくなった琥太郎さんに、笑えてしまった。
「権力を振りかざしてるね」
「必要だったらだよ。もし変なことをまた言われたら、俺に言ってね」
「ふふっ。ありがとう。大丈夫よ。これでもオジさま撃退法は心得てるから」
琥太郎さんが「オジさまって柄かよ」ってププッと笑った。
「あの人はオジさまよりオッサンだろ?」と付け加えて。