「美樹ちゃんは、ここには住みません。」

 先を歩いていたはずの琥太郎さんが、立ち止まって仁王立ちしている。

「おや。美樹ちゃんには先客ありか。ここだろ? 実行委員の兄ちゃん」

 先客って、どういう勘違いをしたのか知らないけど、否定するのも軽いトモさんに馬鹿馬鹿しく思える。

 そのトモさんは、仁王立ちの琥太郎さんの脇をすり抜け、目の前にある家へと入っていった。

 ため息を吐いた琥太郎さんが、追いかけざまに釘を刺した。

「今後もし、協力隊に女性がなったとしても、同じ家には住みませんので悪しからず」

「ハハッ。そのくらいの楽しみはあっても良さそうだけど。今日から、ここに住んでもいいのかな?」