「美樹ちゃんだっけ?」

「はい。山浦美樹です」

「俺、飯塚智広。三十四には見えないっしょ?トモって呼んでよ。トモ兄でもいいよ」

 琥太郎さんとは、違う種類の人懐っこさ。
 知らぬ間に、敬語抜きの親しげな話し方で違和感もない。

「ではトモさんで」

「固いなぁ。美樹ちゃんは。でも俺、結構好きだな」

「はぁ」

 人懐っこいを通り越して、馴れ馴れしい人かもしれない。
 ま、それくらいじゃなきゃ、海外で生活できないかもしれないけど。

「美樹ちゃんが村の子じゃないなんて、残念だなぁ。ねぇ。一緒に協力隊やろうよ。そしたらここに一緒に住めるんじゃない?」

「ここにって」

 さすがに不純なんじゃない? この人。
 一抹の不安を覚えていると、もう一人の声がした。