食事に掃除を済ませ、新しい公民館に向かう。
 今日は、村おこし協力隊の一人が決まったからと、連絡を受けた。

 のどかな田んぼ道を歩き、途中で古い方の公民館に寄ることにした。
 公民館というよりも、裏の秘密基地に。

 そういえば、由美のこと詳しく聞けなかったな。
 嫌な雰囲気を思い出すと、もう一度聞こうとは思えなかった。

「すみません。公民館はここですか?」

 声にギクリとして、振り返る。
 ここに来ると、背後から声を掛けられるのが常なのか。

「…公民館ですか。新しい公民館が別にあります。何かご用ですか?」

 振り返った先には、日焼けしたガタイのいい男性が立っていた。
 笑った口元から白い歯がのぞく。

「それでここに人が居ないんですね。誰も見当たらなくて、建物を一周してしまいました。村おこし協力隊希望の者です。村の人ですか?」

「いえ。私は違います」