琥太郎さんとの電話を切ると、一階に降りた。

 せっかく祖母の家に来ているのに引き受けた仕事のせいで忙しく、祖母と過ごせていない。
 それもこれも祖母の為ではあるのだけれど。

「おばあちゃん。ごめんね。泊まらせてもらっておいて手伝えなくて。もう手が空いたからなんでも言って」

「まぁまぁ。有り難いねぇ」

 床に柱。
 磨くと艶めいて、重厚感のある飴色に輝く。

 子どもの頃も、泊まりに来るたびに任せられた。
 その頃から、祖母の家を磨くのは好きだった。
 外で遊んで来ても、帰れば磨くほどに。

 子どもの頃は無理でも、今なら料理の手伝いも出来る。
 磨いた後は祖母と並び、煮物の根菜類を調理した。