「私も、この村が無くなって欲しくないから」
祖母の心配はもちろん、子どもの頃の大切な思い出の場所だから。
「ありがとう。俺も」
琥太郎さんは優しく微笑むと、重ねて言った。
「町おこし、というか村おこしだけど、村おこし協力隊は美樹ちゃんに頼みたいよ」
さらりと言って退ける琥太郎さんに、力強くお断りした。
「無理無理。協力隊はコミニュケーションが上手な人じゃなきゃ」
どちらかと言えば、人と接する仕事は苦手だ。
だからウェブデザイナーになったつもりが、顧客とは膝を突き合わせて話すこともあった。
ただ仕事なら慣れはしたけれど、私生活ではまだまだ苦手意識が根強かった。
「残念。でも有り難い提案だよ。これからもいい案があったらなんでも言って欲しい」
「私に出来ることなら何でもするわ」