「外孫だったんだね」
不意に質問され、我に返る。
「琥太郎さんは」
「やめてよ。俺、同じ歳なんだ。だから敬語もさん付けもなし」
やっぱり笑った時の八重歯が、少年みたいだ。
落ち着いていると思っていたけれど、同じ歳なのなら納得できる。
同じなら二十六歳か。
年齢を聞くだけで、急に親近感が湧くから不思議だ。
「舞依から聞いた? 外孫だったんだけどね。帰る子だって思われると、仲良くなれない気がして」
外孫に内孫。
地域によって意味は様々らしいが、この村では村で祖母と暮らしている孫が内孫で、村以外で暮らしている孫は外孫だ。
外孫イコール余所者という簡単な図式が嫌で、この村に住むことを装っていた。
「そんなこと気にしてたの? って舞依なら言うよ。すぐに仲良くなれた子だったって聞いたから」