柔らかい微笑みを浮かべる祖母に勧められ、着いて早々に新しい公民館に足を運んだ。
 田んぼアートなるものの集まりは、そこで行われるらしかった。

 さきほどの公民館は旧公民館だ。
 老朽化しており、取り壊しをすると言いつつもあのまま。

 だからこそ、子どもの頃は秘密基地だった。

「美樹! どうしたの? もしかして田んぼアートの田植え希望の人だった?」

 舞依に声をかけられ驚いた。
 若い人たちがと祖母も言っていた。

 小さな村。
 普通に考えれば、若い人たちの中に舞依がいても不思議はない。

「さっきの琥太郎っていう人は?」

「琥太郎? 琥太郎は田んぼアートの実行委員だから、準備に忙しそうだよ。」

 少しだけ安堵し、舞依にそっと耳打ちをした。

「もしかして、琥太郎さんは舞依の恋人?」

「ヤダ! まさか!」

 吹き出した舞依が、目に涙まで浮かべている。

 よく笑う子だった。
 あの頃の舞依が、そのまま大人になったみたいで嬉しい。

「琥太郎は、なんていうか幼馴染? だからさ。腐れ縁みたいな。ね?」