お面の下は誰なのか。
 人なのか、はたまた人ならざる者なのか。

 松明の炎が揺らめいて、幻想の世界へといざなっていく。

 ドーンドーンと太鼓の音は鳴り響き、思考さえも麻痺させる。

 誰が誰なのか、自分は誰なのか。
 白昼夢を見ているような、夢見心地な世界。
 その夢は悪夢か、吉夢か。

 目が覚めると現実の世界に引き戻され、いつもあれは夢だったんだと心に刻んだ。

 夢は決まって同じぐらいの季節に見る。
 夏も終わり、秋が深まってくる頃。

 祖母の田舎で行われるお祭りの季節になると、決まって夢に見た。

 参加したのはただ一度だけなのに、どこまでが現実だったのか、未だにあやふやな妖艶で不思議な空間だったように思う。