出店で、ほおかむりを買って、それをまとった今日子。
 「ここから先は、船を使う。客船だ。あまり目立たないように、行動しろ。」
 「今度は、船ね。飛行機は、ないの」
 「さあねー」
 今日子は、たけしが本当の兄とは、全然かけ離れていることに、がっかりした。

 子供が、「何、あれ?」と親に言った。
 3艘の小型ボートが、近づいてくる。

 「タゲット!」今日子は、叫んだ。
 「ここにいたら、客に迷惑をかける。行くぞ、今日子」
 「はい、」と言って今日子は海に向かって飛んだ。と同時に、たけしは、小型ボートになった。

 「海ということは、泳ぐタゲット?」今日子は、たけしに言った。
 「戦えば、わかる」出力は、こちらが、タゲットのボートより、早かった。こまわりもきく。

 ただ、たけしは、一つのものしか、変化できない。これでは、攻撃ができない。

 タゲットが、ボウガンを撃ってきた。それを、避けた。

 「潜るぞ!」たけしがささやいた。潜水艦を小型にしたような、後ろの取っ手に今日子は、つかまった。
 「下かー」とボウガンをタゲットが撃ってきた。たけしは、スピードを上げた。

 その時、今日子は、海の揺れを強くした。
 「なんだ、揺れる」タゲットたちが、慌てる。
 風を操ったように、今日子は、水の流れも自由自在に操れるように、なった。

「一旦、逃げるぞ」たけしは、ボートに変わり、今日子も乗り移った。

 海上では戦いにくいと、今日子は思った。

 しばらくたって
 「諦めたかしら」とたけしに言った。
 「いや、油断はできん」

 「ねえ、これ見て」と言って今日子は、左手の人差し指から、パチパチとレーザーの火花を散らせて見せた。
 「よし、それでタゲットの目をつぶせ。奴の目は頭にない。右肩にある。」とたけしは、言った。

 ふと、下を見ると、サメが泳いでいた。
 「気持ち悪い」と今日子は、言った。

 みるみるうちに、エラとヒレをつけたタゲットに変わった。泳ぎが早い。
 「海上にいたら、不利だ。」と今日子が言うと同時に、水中推進機にたけしが、変わった。

 「飲み込んでやる」タゲットは言った。その口は、今日子をひとのみできる。今日子は、目とおぼしき部分へ、左手で、レーザーを照射した。

 「うわ、なんだ。目が、目が痛い。見えない」

 「逃げるぞ、今日子」
 「またー」と今日子は、火がついた闘志が消える。

 それから、また、ボートで移動していた。
 「あのサメ型のタゲットは、新型だ。弱点がわからない。」たけしは、言った。
 「倒し方が、違うのね」
 「そうだ、メイン基板とサブ基板の位置がわからない。」

 今日子が「内側から、切り裂けば、どうかしら?」
 「それも、いいかもしれん」たけしは、言った。

 上部のヒレが、海上を進んでくる。
 「今度は、仕留めてやる」大口を開けて突進してきた。たけしは、人の大きさぐらいの魚雷になり、後方の取っ手に今日子はつかんでいた。
 「てやー」と今日子は叫び、タゲットの口に、飛び込んだ。中は真っ暗だった。

 「ようやく仕留めたぞ、小娘」タゲットは、そう、思っていた。
 「暗闇だから、基板の光が、微かに見える。今日子は、レーザー照射で基板を焼き切った。
 「何をしたー」タゲットは苦しんでいる。
 「早く、脱出するぞ。」それから、外へ出た。

 今日子のタイムクラスターで、タゲットからサメに戻った。

 「残り3匹だな」たけしは、言った。
 雲は、東に流れてた。