百合はベッドの中。航は百合のベッドサイド。手をつなぐ、指を組む。
「なんかすげー長く感じた、この2日間。」
「ごめんなさい…。」
「謝るな。あんたは何もしてねぇ。」
「航さん?」
「ん?」
「ありがとう…。」
百合の笑顔。航は安心する。百合の頭をなでた。ふたりは笑顔で見つめ合う。
「あんたには、してもらったりで悪いんだけど…。」
「どうしたんですか?」
「鍵が欲しい。」
「鍵?」
「ここの鍵だ。昨日みたいなことは…もうないだろうけど、欲しい。」
嬉しくなる百合。合鍵。航との距離がさらに縮まる気がした。小さな笑顔で答える。
「はい…すぐ作ります…。」
「あればいつでも夜這いできるしな。」
「よばい…。」
「冗談だ。いちいち本気にすんな。ほんとにするぞ。」
「はい…わかりました…。」
「鍵、頼む…。」
「はい…。」
航が黙りこむ。目を閉じていた。
「航さん…?」
百合は囁く。航が起きないよう。
「ありがとう…航さん…。」
思いついたことをきらきら囁く百合。
「航さん…好きです、大好きです。私、ずっと自信がありませんでした。航さんが、いつまで一緒にいてくれるかどうか。でも航さんはそばにいてくれました。ずっと一緒にいたいです。航さんの…そばにいたいです…。ずっと…航さんと…。」
百合も目を閉じ、眠りにつく。少しして、航はゆっくり目を開けた。そして百合の髪に少し触れ、つないだ百合の手にキスをする。そして囁いた。
「おやすみ…。」
百合の夜を、航が明けた。
新しい陽がのぼる。
翌朝、百合は鏡の前。出勤の準備はできていた。鏡に映る自分へ、決意の表明。
「もう…目をそらさない…。」
そしてまだ気持ちよさそうに寝ている航を見る。
「…ずっと見ていたい…。」
「それじゃ起きられねぇ。」
「え?!」
航はパッと目を明け、体を起こす。
「おはよ。」
「お、はよう、ございます…。いつから起きてたんですか…?」
「んー、あんたが起きた頃。」
「どうして言ってくれなかったんですか?!」
「ほんとはさっき起きた。もう時間だろ?出よう。」
「は、はい!」
玄関。航がスニーカーに手をつける前。百合が後ろから。
「航さん?」
振り返った航に、百合はキスをした。小さなキス。キスをした後、百合は顔を真っ赤にする。それを見た航は言う。やさしい目。
「バカだな。行くぞ。」
手をつないでする出社。恥ずかしい百合。それに航は気づく。
「またビビってんのか?」
「ビビってません!」
「これからもっとビビるぞ。」
「え?」
百合のアパートからは、航の工場のほうが近い。工場に近づけば近づくほど、出社する従業員が現れ増える。そして挨拶をかわす。百合はひたすら恥ずかしがる。ひとり、やんちゃな後輩。
「おはようございます先輩!昨日お泊まりっすか??」
「おー、そーだ。うらやましーだろ。」
「朝から『ちゅー』とかやってんすか??」
「さっきしてきた。見せてやろうか?」
「先輩、朝からやらしーっすね!」
そう言いながら後輩は門の中へ入っていった。
「航さん!何てこと言うんですか!」
「何がだよ。何も悪いこと言ってないだろ。」
「そういう問題じゃ…。そういう…。」
百合の目線は航から下に。百合は気づく。ずっとつないでいた手。その手を離さなければならない。久しぶりの航との別々の時間。
「どうかしたか?」
百合は小さく言った。
「離れたくない…。」
上を向き、百合は自分の気持ちを、航にぶつけるように言う。
「離れたくない!今までずっと…一緒にいたから…。」
百合は自分に驚いた。自分の素直で且つ大きな想いが、口から堂々と出たことに。恥ずかしさのあまり、撤回しようとする。航から目をそらす。
「今の、聞かなかったことにしてください…。何も…。」
「全部聞いた。もう遅い。」
航は百合の顔を両手で包む。そして強いキスをした。息が苦しくなるほどの強いキス。
「これで足りるか?次会うまで。」
「なんかすげー長く感じた、この2日間。」
「ごめんなさい…。」
「謝るな。あんたは何もしてねぇ。」
「航さん?」
「ん?」
「ありがとう…。」
百合の笑顔。航は安心する。百合の頭をなでた。ふたりは笑顔で見つめ合う。
「あんたには、してもらったりで悪いんだけど…。」
「どうしたんですか?」
「鍵が欲しい。」
「鍵?」
「ここの鍵だ。昨日みたいなことは…もうないだろうけど、欲しい。」
嬉しくなる百合。合鍵。航との距離がさらに縮まる気がした。小さな笑顔で答える。
「はい…すぐ作ります…。」
「あればいつでも夜這いできるしな。」
「よばい…。」
「冗談だ。いちいち本気にすんな。ほんとにするぞ。」
「はい…わかりました…。」
「鍵、頼む…。」
「はい…。」
航が黙りこむ。目を閉じていた。
「航さん…?」
百合は囁く。航が起きないよう。
「ありがとう…航さん…。」
思いついたことをきらきら囁く百合。
「航さん…好きです、大好きです。私、ずっと自信がありませんでした。航さんが、いつまで一緒にいてくれるかどうか。でも航さんはそばにいてくれました。ずっと一緒にいたいです。航さんの…そばにいたいです…。ずっと…航さんと…。」
百合も目を閉じ、眠りにつく。少しして、航はゆっくり目を開けた。そして百合の髪に少し触れ、つないだ百合の手にキスをする。そして囁いた。
「おやすみ…。」
百合の夜を、航が明けた。
新しい陽がのぼる。
翌朝、百合は鏡の前。出勤の準備はできていた。鏡に映る自分へ、決意の表明。
「もう…目をそらさない…。」
そしてまだ気持ちよさそうに寝ている航を見る。
「…ずっと見ていたい…。」
「それじゃ起きられねぇ。」
「え?!」
航はパッと目を明け、体を起こす。
「おはよ。」
「お、はよう、ございます…。いつから起きてたんですか…?」
「んー、あんたが起きた頃。」
「どうして言ってくれなかったんですか?!」
「ほんとはさっき起きた。もう時間だろ?出よう。」
「は、はい!」
玄関。航がスニーカーに手をつける前。百合が後ろから。
「航さん?」
振り返った航に、百合はキスをした。小さなキス。キスをした後、百合は顔を真っ赤にする。それを見た航は言う。やさしい目。
「バカだな。行くぞ。」
手をつないでする出社。恥ずかしい百合。それに航は気づく。
「またビビってんのか?」
「ビビってません!」
「これからもっとビビるぞ。」
「え?」
百合のアパートからは、航の工場のほうが近い。工場に近づけば近づくほど、出社する従業員が現れ増える。そして挨拶をかわす。百合はひたすら恥ずかしがる。ひとり、やんちゃな後輩。
「おはようございます先輩!昨日お泊まりっすか??」
「おー、そーだ。うらやましーだろ。」
「朝から『ちゅー』とかやってんすか??」
「さっきしてきた。見せてやろうか?」
「先輩、朝からやらしーっすね!」
そう言いながら後輩は門の中へ入っていった。
「航さん!何てこと言うんですか!」
「何がだよ。何も悪いこと言ってないだろ。」
「そういう問題じゃ…。そういう…。」
百合の目線は航から下に。百合は気づく。ずっとつないでいた手。その手を離さなければならない。久しぶりの航との別々の時間。
「どうかしたか?」
百合は小さく言った。
「離れたくない…。」
上を向き、百合は自分の気持ちを、航にぶつけるように言う。
「離れたくない!今までずっと…一緒にいたから…。」
百合は自分に驚いた。自分の素直で且つ大きな想いが、口から堂々と出たことに。恥ずかしさのあまり、撤回しようとする。航から目をそらす。
「今の、聞かなかったことにしてください…。何も…。」
「全部聞いた。もう遅い。」
航は百合の顔を両手で包む。そして強いキスをした。息が苦しくなるほどの強いキス。
「これで足りるか?次会うまで。」