百合は笑顔でテーブルに戻ってきた。
「航さん、すごくきれいでした。」
「じゃあオレも…。」
今度は航がベランダへ。百合と友江の2人。久しぶりの2人。
「どう?仕事は。」
「何も変わりません。相変わらずです。あ、私もお昼、ジョリンで食べるようになったんです。」
「懐かしいわー、ジョリン!でもあんたが1人で??」
「いえ、総務の先輩2人と。すごくよくしてくれるんです。」
「あー!いいわよねー総務!みんないつも楽しそうだったわー。うちの経理なんか、なんだか部屋がカビ臭くて。」
「そんなことないですよ。」
シャンパンを飲む百合。いい表情をしている百合を、友江は眺めながら言う。
「ユリだったのね。」
「何がですか?」
「いきなり航くんから連絡があったの。『紹介したい人がいます』って。びっくりしちゃったわ。しかもその相手がユリだったなんてね。」
「そうだったんですか??」
「これがどういうことだか、わかる?ユリ。」
百合はシャンパングラスを置き、考える。
「誰かに自分の恋人を紹介するってことは、それだけ大切に想っていて、それだけ大事にしてる、その証拠、証明でもあるわ。」
「…そういうことなんですか?」
「そう。そうじゃなかったら、誰かに堂々と紹介したいなんて思わないでしょ?」
友江は航を微笑ましく見た。
「航くん。彼は彼なりの覚悟があるのね。」
「何の覚悟ですか?」
「覚悟を決めてあんたと付き合ってるってことよ。」
百合は初めて気づく。航の想い、その重み。百合の乾いていた心が潤い、重くなる。潤いが溢れるほどに感じた。しかし同時に、胸がきりきりした百合。
「今はきっと、私と2人で話す時間を作ってくれてるのよ、航くん。」
百合は急いで航を見る。航は野田と一緒にテーブルに戻ってきた。そこへ友江が聞く。
「男2人で、仲良く何話してたの?」
「それは…言えないな、男同士の話だからね。ね?航くん。」
「そうっすね。」
「何よ、航くんまで!」
楽しいホームパーティ。時間が来る。
「ごちそうさまでした。今日はありがとうございました、友江さん。野田さんも。」
「いいえ!また、いつでも来てね!」
友江はまた百合にハグをする。
「たまには人に頼ることも大事よ。今はすぐそばに、いるでしょ?」
「はい…。ありがとうございます…。」
航と百合、ふたりは帰る。手をつなぐ帰り道。
「驚いたか?」
「びっくりしました!まさか、友江先輩に…。」
「少しは話せたか?」
「はい、楽しかったです。ありがとうございます、航さん。」
「また行こう。ふたりで。」
『ふたり』。その言葉が嬉しかった百合は笑顔で返事をする。
「はい。」
長い陽も暮れる。歩く百合は思い立つ。
「航さん。」
「ん?」
「この江戸切子のペアグラス。」
「それがどうしたんだよ。」
「ふたり一緒にいないと、一緒に使えません。」
「あぁ…そういえばそうだな。」
「だから航さん…、うちに来ませんか…?」
「あんたの部屋にか?」
「はい。私作ります、焼き鳥。それで、一緒にビール、飲みませんか…?」
航を見上げる百合。ふたり目が合う。
「ほんとにいいのかよ。」
「はい…。」
航はすぐに返事をせず、頭を抱えた。航の、何かを考えてる証拠。百合は自分の発言に後悔する。その直前。
「そうだな。そのグラスで飲むビールと焼き鳥。うまそうだな。」
「航さん…。」
「その代わり、うまい焼き鳥作れよ。」
「はい!」
ふたり笑顔の帰り道。
「航さん、すごくきれいでした。」
「じゃあオレも…。」
今度は航がベランダへ。百合と友江の2人。久しぶりの2人。
「どう?仕事は。」
「何も変わりません。相変わらずです。あ、私もお昼、ジョリンで食べるようになったんです。」
「懐かしいわー、ジョリン!でもあんたが1人で??」
「いえ、総務の先輩2人と。すごくよくしてくれるんです。」
「あー!いいわよねー総務!みんないつも楽しそうだったわー。うちの経理なんか、なんだか部屋がカビ臭くて。」
「そんなことないですよ。」
シャンパンを飲む百合。いい表情をしている百合を、友江は眺めながら言う。
「ユリだったのね。」
「何がですか?」
「いきなり航くんから連絡があったの。『紹介したい人がいます』って。びっくりしちゃったわ。しかもその相手がユリだったなんてね。」
「そうだったんですか??」
「これがどういうことだか、わかる?ユリ。」
百合はシャンパングラスを置き、考える。
「誰かに自分の恋人を紹介するってことは、それだけ大切に想っていて、それだけ大事にしてる、その証拠、証明でもあるわ。」
「…そういうことなんですか?」
「そう。そうじゃなかったら、誰かに堂々と紹介したいなんて思わないでしょ?」
友江は航を微笑ましく見た。
「航くん。彼は彼なりの覚悟があるのね。」
「何の覚悟ですか?」
「覚悟を決めてあんたと付き合ってるってことよ。」
百合は初めて気づく。航の想い、その重み。百合の乾いていた心が潤い、重くなる。潤いが溢れるほどに感じた。しかし同時に、胸がきりきりした百合。
「今はきっと、私と2人で話す時間を作ってくれてるのよ、航くん。」
百合は急いで航を見る。航は野田と一緒にテーブルに戻ってきた。そこへ友江が聞く。
「男2人で、仲良く何話してたの?」
「それは…言えないな、男同士の話だからね。ね?航くん。」
「そうっすね。」
「何よ、航くんまで!」
楽しいホームパーティ。時間が来る。
「ごちそうさまでした。今日はありがとうございました、友江さん。野田さんも。」
「いいえ!また、いつでも来てね!」
友江はまた百合にハグをする。
「たまには人に頼ることも大事よ。今はすぐそばに、いるでしょ?」
「はい…。ありがとうございます…。」
航と百合、ふたりは帰る。手をつなぐ帰り道。
「驚いたか?」
「びっくりしました!まさか、友江先輩に…。」
「少しは話せたか?」
「はい、楽しかったです。ありがとうございます、航さん。」
「また行こう。ふたりで。」
『ふたり』。その言葉が嬉しかった百合は笑顔で返事をする。
「はい。」
長い陽も暮れる。歩く百合は思い立つ。
「航さん。」
「ん?」
「この江戸切子のペアグラス。」
「それがどうしたんだよ。」
「ふたり一緒にいないと、一緒に使えません。」
「あぁ…そういえばそうだな。」
「だから航さん…、うちに来ませんか…?」
「あんたの部屋にか?」
「はい。私作ります、焼き鳥。それで、一緒にビール、飲みませんか…?」
航を見上げる百合。ふたり目が合う。
「ほんとにいいのかよ。」
「はい…。」
航はすぐに返事をせず、頭を抱えた。航の、何かを考えてる証拠。百合は自分の発言に後悔する。その直前。
「そうだな。そのグラスで飲むビールと焼き鳥。うまそうだな。」
「航さん…。」
「その代わり、うまい焼き鳥作れよ。」
「はい!」
ふたり笑顔の帰り道。