外は真っ暗で、変わらず雪が降り続いている。
落としたうどんは明日、片付けることにして、厨房に戻った大吉は、森山に簡単な経緯を話し、遅くなったことを詫びた。
それから、指示された食器洗いに取り掛かる。
冷たい水で手が痛む。
それに耐えてソースのこびりついた白い皿を擦っていたら、「注文入りました」と穂積が厨房に現れた。
ハンバーグステーキをふたり分という注文は、おそらく左門のものだと思われる。
その後に穂積は、森山に小声でなにかを伝えていた。
その会話は大吉の耳まで届かないが、森山は中堅のコックにハンバーグステーキを焼くよう指示をし、自身は小鍋に醤油や日本酒を入れて煮立たせている。
なぜ醤油なのかと、大吉は目を瞬かせた。
「森山さん、なにを作っているんですか?」
「ソースだ。あの絵描きの口にも合うように、和風にしろっていうオーナーの迷惑な注文だ」
「へぇ、和風ソースですか。それも美味しそうですね。僕も食べたいな」
「お前はさっき食っただろ。それ洗い終えたら、お前が料理を持っていけ。これもオーナーのわがままな指示だ」
口では非難しても、森山は迷惑そうな顔をしていない。
左門から通常メニューと違うものを注文されることに、慣れている様子である。
ハンバーグステーキが焼き上がると、付け合わせの西洋野菜とともに皿に美しく盛り付けられた。
ひと皿はそのままで。もうひと皿はハンバーグステーキの上に、大葉と大根おろしがのせられる。
(和洋折衷の変わった料理になったな。これなら弥勒さんも、無理なく食べられそうだ)
ソースは三種類もあって、銀製のソース入れに注がれていた。
森山が作った和風ソースと、通常のブラウンソース、それともう一種類はなんだろうか。
それを大吉が質問する前に、ワゴンに乗せられた料理を、「早く持っていけ」と森山に命じられた。
落としたうどんは明日、片付けることにして、厨房に戻った大吉は、森山に簡単な経緯を話し、遅くなったことを詫びた。
それから、指示された食器洗いに取り掛かる。
冷たい水で手が痛む。
それに耐えてソースのこびりついた白い皿を擦っていたら、「注文入りました」と穂積が厨房に現れた。
ハンバーグステーキをふたり分という注文は、おそらく左門のものだと思われる。
その後に穂積は、森山に小声でなにかを伝えていた。
その会話は大吉の耳まで届かないが、森山は中堅のコックにハンバーグステーキを焼くよう指示をし、自身は小鍋に醤油や日本酒を入れて煮立たせている。
なぜ醤油なのかと、大吉は目を瞬かせた。
「森山さん、なにを作っているんですか?」
「ソースだ。あの絵描きの口にも合うように、和風にしろっていうオーナーの迷惑な注文だ」
「へぇ、和風ソースですか。それも美味しそうですね。僕も食べたいな」
「お前はさっき食っただろ。それ洗い終えたら、お前が料理を持っていけ。これもオーナーのわがままな指示だ」
口では非難しても、森山は迷惑そうな顔をしていない。
左門から通常メニューと違うものを注文されることに、慣れている様子である。
ハンバーグステーキが焼き上がると、付け合わせの西洋野菜とともに皿に美しく盛り付けられた。
ひと皿はそのままで。もうひと皿はハンバーグステーキの上に、大葉と大根おろしがのせられる。
(和洋折衷の変わった料理になったな。これなら弥勒さんも、無理なく食べられそうだ)
ソースは三種類もあって、銀製のソース入れに注がれていた。
森山が作った和風ソースと、通常のブラウンソース、それともう一種類はなんだろうか。
それを大吉が質問する前に、ワゴンに乗せられた料理を、「早く持っていけ」と森山に命じられた。