「じゃあ、椅子を貸すから」

俺は一番後ろの自分の椅子を持ってきた

「あっ、そうだね、じゃあ借りるけど……」

「……けど?」

「怖いから椅子を押さえてて欲しい……」

「いいよ(笑)」

その時から横川の存在が気になるようになった

その瞬間から好きになったとかじゃなく
気になる存在になったのだ



中学二年の時、俺には彼女がいた
告白されて付き合い始めたが
彼女は美人でスポーツ万能、バスケ部のキャプテンをしていた

友達には羨ましがられ、まあ、俺も付き合っていくうちに明るい彼女に惹かれ始めていたし順調だと思っていた

積極的な彼女はデートを決めるのも自分
俺は部活は運動部ではなく美術部に入っていたので土日は部活がなく彼女の予定に合わせた

初キスも彼女の方からで近くの公園だった
しかし三年の部活引退後、突然彼女から別れたいと言われた

これから遊ぶ時間が増えるんじゃないのかなと思っていた俺はびっくりしたが特に理由も聞かず承諾した

そして次の日、別の男子と一緒に帰っている彼女を目撃した

バスケ部の男子だった

流石にその夜電話をしたが
返事は……


暎太はかっこいいけど……私はリードして欲しかったの〇〇君は趣味も合うし面白い
暎太は顔だけだった、ごめんね



明るく言われた……