雲一つない快晴の空のように青い髪をしている。その髪と吊り上がった瞳が、ガラの悪さを醸している。身長差は俺と五センチもない。
 ――ん?
 奴が着ていた白シャツと学ランのズボンの所々に血がついていた。
 ――こいつ、自殺する前に見かけた男だ。
 俺、こいつとあの茶髪の男に助けられたんだ!
 涙が零れた。
 やっと死ねると思ったのに……。
 神様はひどい。
 いじめてとも、姉を殺してとも、親を殺してとも頼んだつもりはない。それなのにおれをいじめて、みんな殺した。俺だけ生かした。そんなの頼んでないのに。
 俺は姉が家にいるだけでよかったんだ。
 毎日姉が帰ってくるのを待てるだけでよかった。それだけで幸せだった。
 俺がお帰りと言ったら、ただいまといって笑ってくれる姉と一緒にいるだけでよかったのに……。

 誰でもいい。
 殺人鬼でも、強盗犯でも、いじめっこでも、その親でもいい。
 誰でもいいから、頼むから俺を殺してくれ……。
 俺は祈るような想いで頭を抱えた。
 足の痛みが折れたせいではなく、ナイフとかで刺された痛みだったらよかったのに。
「――おい、大丈夫か?」
 俺の腕を掴んで、青髪の男が言う。
 いつの間にか起きていたらしい。
「触んなっ! なんで、なんで生かしたんだよ!! 俺は死にたいのに……っ」
 掠れた弱々しい声が漏れた。
 殺されたかったのに……。
「そんなこと言うなよ。死んだら何もかも終わりだ」
「だから、俺は終わらせたかったんだよ?」
 声が枯れる勢いで叫ぶ。
 殺されたかった。生かされたくなかったのに。
「……死んだら楽になんのか」