奈々はなぜ隠そうとした?
何を思った?
どうせまた、迷惑をかけたくないとか思ったんじゃないだろうか。
気を遣って自分一人で抱え込んで。

奈々はこんなにたくさんメッセージを送っていたのに、なぜ気付かなかったんだろう。
気付く要素はいくらでもあったハズなのに、なぜ気付いてやれなかったんだ。
何でもなかったかのように明るく振る舞って、心だけ傷付けて。

ごめんなさいと泣く奈々を責めることなんて、祐吾には到底出来なかった。
優しくてお人好しな奈々は、自分を傷つけることに抵抗がない。
だから、何としても守ってやりたいと祐吾は改めて思った。

「奈々。」

涙を拭ってやりながら呼び掛ける。
躊躇いがちに合わされた視線に、祐吾は真っ直ぐに心を込めて、奈々の心に届くように伝える。

「奈々、すまなかった。一人で抱え込まなくていい。」

「奈々、結婚しよう。」

それは突然のプロポーズで。

奈々は祐吾の胸で声をあげて泣いた。
祐吾は奈々が落ち着くまで、優しくずっと抱きしめていた。

慈しむように。

大切に。

大切に。