【東京の片隅、しがないOLの女と、カタギになった男の純愛ストーリー】

 取り残された自分を誰かに見つけてもらいたい女・加波子(かなこ)と、人を必要とせず独りで生きてきた男・(りょう)。闇を抱えるふたり。雨の夜、亮が加波子に貸した一本の傘から、ふたりは始まった。

 加波子はどこにでもいるようなただのOL。しかし、重くて暗い白い記憶を胸に、誰にも言えず、ひとり生きてきた。亮はずっと誰も必要としてこなかった。必要ないと思って生きてきたのだ。

 そんな加波子と亮は、ある夜出逢う。お互いがお互いの人生を変える者同士が出逢った。

 亮は不運にも、突然闇と出会ってしまう。闇が亮を蝕んでいく。誰にも止められない。自分が止めるしかない、加波子は思う。加波子は亮を守りたい。亮は加波子を守りたい。はたして守り抜けるのか。その先にあるものは何なのか。ふたりの行く末はどこなのか。

 桜を見に行く約束をする度に、闇に引き裂かれるふたり。ふたりに桜が咲く日は来るのか。