星雲町の水族館は、駅前の広場に隣接する形で建てられていた。アクセスのいい場所にあり、おまけに今日は休日だったが、天気が悪いせいか館内の客足は少ない。

 水族館を訪れるのは随分久しぶりな気がする。水槽の中を泳ぐ魚に目移りしながら進んでいた私は、突き当たりに現れた巨大な水槽の前で足を止めた。

「……ヨリ?」

 私の声に、水槽を見上げていたヨリが振り返る。
 驚いたような表情の後、気まずそうに視線を泳がせた彼は「どうして君がここに」とだけ呟いた。
 彼に倣って水槽を見上げ、ああそうか、と納得する。

「雨の日は、青空が見たくなるよね」

 ガラスがはめ込まれた天井は、晴れた日の空の色をしていた。