全身の力が抜け、思わずへたり、と床に座り込む。足元に、私と共に残されたロシアンブルーの猫がすり寄った。
(どうしよう)
この部屋に残るにしろ逃げるにしろ、どちらにせよ危険なことは間違いない。でもこのまま取って食われるくらいなら、と私は腰を上げてドアノブに手をかけた。
(あれ!?)
慌ててガチャガチャとドアノブを回すが、重厚な部屋のドアはびくともしない。監禁されたと悟った時、水銀のような冷たい液体が体内を流れ落ちて行くような感覚がした。
ドアが駄目なら窓だ、と振り返り、ため息を落とす。ここは四階だ。いくらゲームの中とは言え、命の危険に晒される訳には行かない。
『目付けられたら身動き取れなくなるぞ』
脳内で織也くんの言葉がリフレインする。まさに彼が予想した通りの事態が起こってしまった。
どうにかしてここから脱出する方法は無いか。
私は立ち上がり、ヨリが生徒会の業務に使用している執務机へ近付いた。
几帳面なヨリらしく、机の上は綺麗に片付けられていて目ぼしいものは見つからない。唯一なんの手がかりにもならなさそうな薄汚れたチンアナゴのマスコットだけが、机の隅で異質な存在感を放っていた。
(意外とゆるキャラが好きだったりして……って)
(今はそれどころじゃない!)
自分の身に危険が迫るほど、どうでもいいことを考えてしまうのかもしれない。
マスコットを右手で拾い上げた私は、不意にドアの向こうから鳴り響いたノック音に驚いて振り返った。
(どうしよう)
この部屋に残るにしろ逃げるにしろ、どちらにせよ危険なことは間違いない。でもこのまま取って食われるくらいなら、と私は腰を上げてドアノブに手をかけた。
(あれ!?)
慌ててガチャガチャとドアノブを回すが、重厚な部屋のドアはびくともしない。監禁されたと悟った時、水銀のような冷たい液体が体内を流れ落ちて行くような感覚がした。
ドアが駄目なら窓だ、と振り返り、ため息を落とす。ここは四階だ。いくらゲームの中とは言え、命の危険に晒される訳には行かない。
『目付けられたら身動き取れなくなるぞ』
脳内で織也くんの言葉がリフレインする。まさに彼が予想した通りの事態が起こってしまった。
どうにかしてここから脱出する方法は無いか。
私は立ち上がり、ヨリが生徒会の業務に使用している執務机へ近付いた。
几帳面なヨリらしく、机の上は綺麗に片付けられていて目ぼしいものは見つからない。唯一なんの手がかりにもならなさそうな薄汚れたチンアナゴのマスコットだけが、机の隅で異質な存在感を放っていた。
(意外とゆるキャラが好きだったりして……って)
(今はそれどころじゃない!)
自分の身に危険が迫るほど、どうでもいいことを考えてしまうのかもしれない。
マスコットを右手で拾い上げた私は、不意にドアの向こうから鳴り響いたノック音に驚いて振り返った。
