流星とジュネス

幼馴染(フィアンセ)、僕は君と久しぶりに時間を過ごすことができて嬉しかった。君は僕の言いつけ通り、決められた時間に僕に会いに来てくれたね」

 ドアへ背を向ける私に、ヨリは一歩近付く。

「だけど、思ったんだ。もし目の前で助けを求められたら、君は友人と僕のどっちを取るかーーってね」

 ヨリの腕から、しなやかな動きで猫が地面へ飛び降りる。
 高級感のあるグレーの毛に、青色の瞳。
 財布を盗まれる際に太郎くんが目撃していた外見と、全く同じ姿だった。

「た……試したの……?」

 戦慄する私を前に、ヨリは冷ややかに笑う。

「人聞きの悪いこと言わないでよ。君だって僕を裏切っただろう」
「裏切ってなんかないよ! 解決したらちゃんとヨリの元へ行くつもりだったし、実際今……」
「五月蝿いよ」

 指先で強く顎を掬い上げられ、言葉に詰まる。
 獲物を追い詰める狼のような瞳で、ヨリは私に囁いた。