「外で練習しようとしてたら、財布をくわえた猫が歩いて来て。部員の皆でなだめたら渡してくれたから、預かっていたんです」
差し出された財布を、太郎くんは泣きそうな表情で受け取る。
「ありがとう、ほんと助かった!」
「良かったです、持ち主が見つかって」
彼女は私を見て微笑むと、「じゃ、私はこれで」とセーラー服のスカートを翻して去って行く。彼女が向かう先に、部員と見られる数人の男女が立っていた。
「はあ、命拾いした……! 有明さんも一緒に探してくれてありがとう」
「いえいえ、力になれたか分からないけど、とにかく見つかって良かった」
中庭に設置された時計が目に留まり、私は慌てて立ち上がる。気付けばヨリと約束していた時刻をとうに過ぎていた。
「私、人と待ち合わせしてるからそろそろ行かなきゃ。またね、太郎くん」
「俺も今日はもう帰ろっと。またね」
太郎くんと別れ、私は急いで生徒会室へ向かった。
差し出された財布を、太郎くんは泣きそうな表情で受け取る。
「ありがとう、ほんと助かった!」
「良かったです、持ち主が見つかって」
彼女は私を見て微笑むと、「じゃ、私はこれで」とセーラー服のスカートを翻して去って行く。彼女が向かう先に、部員と見られる数人の男女が立っていた。
「はあ、命拾いした……! 有明さんも一緒に探してくれてありがとう」
「いえいえ、力になれたか分からないけど、とにかく見つかって良かった」
中庭に設置された時計が目に留まり、私は慌てて立ち上がる。気付けばヨリと約束していた時刻をとうに過ぎていた。
「私、人と待ち合わせしてるからそろそろ行かなきゃ。またね、太郎くん」
「俺も今日はもう帰ろっと。またね」
太郎くんと別れ、私は急いで生徒会室へ向かった。
