「出たな、久我依都」

 カフェテリアで売られていたポップコーンをかじりながら、きららちゃんは丸い瞳を光らせる。彼の隣に座る風間くんは「俺らが食べる分なくなる」と、ポップコーンの袋をテーブルの真ん中へ遠ざけた。

「学校一の優等生。成績は常に学年トップで、おまけに生徒会長」
「すごいよな、あのインテリオーラ」
「一周回って近寄り難い感じだけどねー」
「あそこまで優秀だと先生からの信頼も厚いだろうな。俺なんかテストの点良かったら逆に明日は雪降るとか言われそう」

 ポップコーンを口に放りながら、風間くんは小さくため息をつく。この前の小テストの結果を受けて、彼は放課後の補修リストに名前が掲載されていた。

「風間くんには体育の成績があるから大丈夫だよ。そう言えば旭くんは元気?」
「ああ。あいつ、自分もスポーツやりたいって言い出したみたいで。身体を動かすことに前向きになれば症状の改善にも繋がるかもって担当医が話してた」
「それは良かったね」

 例えヨリのような頭脳を持っていなくても、風間くんはスポーツで人を笑顔にすることができる。

(皆違って、皆いい)

 それが、この数ヶ月間あらゆる個性豊かな面々に囲まれる中で学んだ私の一つの答えだ。