流星とジュネス

 やがて体育館に十人の男子生徒が集まり、バスケットボールの試合が始まる。
 三年一組の対戦相手は、隣のクラスの二組だ。最高学年同士の試合ともあり、体育館は生徒の声援で開始前から盛り上がりを見せていた。

「あ、お兄ちゃんだ!」

 旭くんが車椅子から身を乗り出して階下を指さす。
 バスケットボールの他にも多くの競技に出場することが決まっている風間くんはスターティングメンバーではなく、ピンチヒッターとしてコートの端で待機をしていた。

 審判を務める体育教師のホイッスルで、試合が始まる。
 開始早々の先制を決めたのは二組だった。

「強いな、二組」

 レモンをかじりながら織也くんが呟く。一組もパス回しではチームワークを発揮しているものの、二組のブロックによってなかなか得点に繋げられずにいる。

 ピッ。
 二組に点差を付けられたまま十分が経過したところで、前半は終了した。

「負けちゃってるね、一組」
「そうだね。でも、後半の巻き返しがあるから」

 二分のインターバルを経て、試合は後半へと突入する。

 双方のクラスを応援する生徒がいるせいで前半から観客席は歓声とため息が入り混じるカオスな空気が漂っていたが、後半開始を告げるホイッスルが鳴った途端、わっとひときわ大きな声援が会場を包んだ。