「織也くん、バスケの試合は出ないんだね」
「怪我したらモデルの仕事に響くだろ。だから俺はドッジボールだけ。しかも外野オンリー」
標的にされない立場を良いことに外野で容赦なくボールを投げまくる織也くんと、ポンポンやうちわを持って彼を応援する女子の姿が目に浮かぶ。
織也くんは「そうだ」と、座席の上に置いていたタッパーを旭くんに差し出した。
「身体に障らなかったら食えよ。クラスの女子から差し入れでもらった、レモンのはちみつ漬け」
「ありがとう」
旭くんが細い腕でタッパーを開けると、薄切りになったレモンがいくつも重なっている。レモンは黄金色のはちみつでひたひたに漬けられており、指先で一枚つまんで口含んだ旭くんは「んんー」と幸せそうな表情で身をよじらせた。
「美味しそう! 私も食べたい」
「これ、本来はお前が俺にあげるやつだからな?」
口に放ると、レモンとは思えぬ甘さが広がる。まさに青春の味、と感動する私の隣で織也くんは呆れたように笑った。
「怪我したらモデルの仕事に響くだろ。だから俺はドッジボールだけ。しかも外野オンリー」
標的にされない立場を良いことに外野で容赦なくボールを投げまくる織也くんと、ポンポンやうちわを持って彼を応援する女子の姿が目に浮かぶ。
織也くんは「そうだ」と、座席の上に置いていたタッパーを旭くんに差し出した。
「身体に障らなかったら食えよ。クラスの女子から差し入れでもらった、レモンのはちみつ漬け」
「ありがとう」
旭くんが細い腕でタッパーを開けると、薄切りになったレモンがいくつも重なっている。レモンは黄金色のはちみつでひたひたに漬けられており、指先で一枚つまんで口含んだ旭くんは「んんー」と幸せそうな表情で身をよじらせた。
「美味しそう! 私も食べたい」
「これ、本来はお前が俺にあげるやつだからな?」
口に放ると、レモンとは思えぬ甘さが広がる。まさに青春の味、と感動する私の隣で織也くんは呆れたように笑った。
