*
グラウンドの反対側、校舎の裏にある駐車場まで行くと既に送迎車は到着しており、病院のスタッフが車椅子の旭くんを車外へ降ろしているところだった。
「お待たせ! 旭くん、わざわざ高校まで来てくれてありがとう」
「ううん。海羽ちゃんこそ、僕のために病院にお願いしてくれてありがとう」
旭くんは「お兄ちゃん、僕が来たって知ったらびっくりするかな」と嬉しそうだ。
「球技大会が終わる頃にまた迎えに来ますので」
「ありがとうございます」
私はスタッフの方にお礼を言うと、彼の車椅子を押して体育館へ向かった。
蒼遥高校の体育館はコートをぐるりと囲んで観客席が設けられている。私達が体育館へ到着する頃には、座席は試合を観戦する生徒で大半が埋まっていた。
どこへ座ろうか館内を見回していると、私達に気付いて手を挙げた織也くんと目が合う。そばへ近寄ると、両隣の座席に荷物が置かれていることに気付いた。
「織也くん、席取っててくれたの?」
「太郎から話は聞いてたからな。車椅子なら一番後ろが見やすいだろうと思って」
どうも、と織也くんは旭くんに会釈をする。旭くんは「かっこいい……外国の王子様みたいだね」と瞳をきらきらと輝かせた。
グラウンドの反対側、校舎の裏にある駐車場まで行くと既に送迎車は到着しており、病院のスタッフが車椅子の旭くんを車外へ降ろしているところだった。
「お待たせ! 旭くん、わざわざ高校まで来てくれてありがとう」
「ううん。海羽ちゃんこそ、僕のために病院にお願いしてくれてありがとう」
旭くんは「お兄ちゃん、僕が来たって知ったらびっくりするかな」と嬉しそうだ。
「球技大会が終わる頃にまた迎えに来ますので」
「ありがとうございます」
私はスタッフの方にお礼を言うと、彼の車椅子を押して体育館へ向かった。
蒼遥高校の体育館はコートをぐるりと囲んで観客席が設けられている。私達が体育館へ到着する頃には、座席は試合を観戦する生徒で大半が埋まっていた。
どこへ座ろうか館内を見回していると、私達に気付いて手を挙げた織也くんと目が合う。そばへ近寄ると、両隣の座席に荷物が置かれていることに気付いた。
「織也くん、席取っててくれたの?」
「太郎から話は聞いてたからな。車椅子なら一番後ろが見やすいだろうと思って」
どうも、と織也くんは旭くんに会釈をする。旭くんは「かっこいい……外国の王子様みたいだね」と瞳をきらきらと輝かせた。
