流星とジュネス



 旭くんを球技大会に連れて来る。
 そう打ち明けると、額に赤色の鉢巻を結びなおしていたきららちゃんは「えっ!」と瞳を丸くさせた。

「だって、滉平の弟はずっと病院で入院してるんだよね?」
「そうなんだけど……旭くん、お兄ちゃんの活躍する姿を見たがってて」
「お医者さんの許可は出たの?」
「うん。風間くんには話してないんだけど……病院に掛け合ったら、屋内競技の見学なら良いですよって。だから今日は昼休憩が終わる頃に病院が車で連れてきてくれるってことになってる」
「そっかあ。次の試合はバスケだし、丁度良かったね。一組も負けてる訳だし、ここで風間くんには頑張ってもらわないと」

 そう言ってきららちゃんは視線をグラウンドへ向ける。校舎を背にして設置された巨大な電光掲示板には全学年各クラスの成績が表示されていたが、三年一組は現時点で五位のスコアとなっていた。

「私もバレーボール頑張ったんだけどな……他のクラスも強くてなかなか一筋縄では行かないね」
「海羽ちゃんが一発でサービスエース決めた時は感動しちゃった。他のクラスは運動部に入ってる生徒の割合も多いし、しょうがないかもね」

 きららも頑張らなくちゃ、と彼はぎゅっと両手の拳を握りしめる。