「ところで海羽ちゃん、風間くんについて知りたいんだよね?」

 紅茶をすすったきららちゃんが、不意に風間くんの話を引き合いに出す。私はこの部屋に太郎くんを連れてきた目的を思い出した。

「そうだ。私は太郎くんから風間くんの話が聞きたくてーー」
「風間くんのことだったらきららだって知ってるよ!」

 きららちゃんはそう言うと、得意げに胸を張る。

「風間滉平、18歳。家族構成は両親と弟で、趣味と特技はスポーツ全般。小学生の頃から腐れ縁の親友が一人いて、その名前はーー」

 言いかけた彼は、はっとして視線を上げた。

「太郎くん、あなただったね」

 きららちゃんに指摘され、太郎くんは「そう」と頷く。

「風間くん、昔から運動神経が良いの?」
「うん、あいつの才能は本物だよ。小学生の頃は全国から抜擢されるバスケのユースチームに入ってたくらいだから」
「でも、この高校では帰宅部なんだよね」

 気になっていたことを尋ねると、「滉平、実はさ」と太郎くんは声のトーンを落とした。