「じゃああなたの名前、きららが考えてあげる」
「え?」
「だってこれから仲良くなるんなら、互いに呼び合える名前があった方が楽しいでしょ?」
顔を上げた彼に、きららちゃんはにっこりと微笑む。鶴の一声とはまさにこのことだ。
「モブの俺が……名前を……」
「きららちゃんの言う通りだよ! モブかどうかなんて関係ない。私だって、元々はあなたと話がしたくて声をかけた訳だし」
彼は信じられないと言った様子で目を瞬かせる。
その様子を眺めながら、織也くんはきららちゃんに尋ねた。
「んで、何かいい案はあるのか?」
桜色のネイルが塗られた人差し指を顎に当て、きららちゃんは「んー、そうだな」と考える素振りを見せる。
「じゃあ、『蒼遥太郎』くん」
「……」
静まり返った一同の沈黙を切り裂くように、ぶは、と織也くんの爆笑が響く。
「お前、考えてそれかよ! 高校の名前じゃねーか!」
「えー、でも分かりやすいし良いと思うんだけどな」
人の名前をここまで安直に命名する機会に、生まれてこの方立ち会った経験がない。
それはちょっと、と反論しようとした私の言葉は、目の前ですっと水平に伸ばされた掌によって遮られた。
「それでいいよ。うん、すごくいいと思う」
きららちゃんをまっすぐに見つめる彼の真剣な表情に、ぽかんと口を開ける。
「え?」
「だってこれから仲良くなるんなら、互いに呼び合える名前があった方が楽しいでしょ?」
顔を上げた彼に、きららちゃんはにっこりと微笑む。鶴の一声とはまさにこのことだ。
「モブの俺が……名前を……」
「きららちゃんの言う通りだよ! モブかどうかなんて関係ない。私だって、元々はあなたと話がしたくて声をかけた訳だし」
彼は信じられないと言った様子で目を瞬かせる。
その様子を眺めながら、織也くんはきららちゃんに尋ねた。
「んで、何かいい案はあるのか?」
桜色のネイルが塗られた人差し指を顎に当て、きららちゃんは「んー、そうだな」と考える素振りを見せる。
「じゃあ、『蒼遥太郎』くん」
「……」
静まり返った一同の沈黙を切り裂くように、ぶは、と織也くんの爆笑が響く。
「お前、考えてそれかよ! 高校の名前じゃねーか!」
「えー、でも分かりやすいし良いと思うんだけどな」
人の名前をここまで安直に命名する機会に、生まれてこの方立ち会った経験がない。
それはちょっと、と反論しようとした私の言葉は、目の前ですっと水平に伸ばされた掌によって遮られた。
「それでいいよ。うん、すごくいいと思う」
きららちゃんをまっすぐに見つめる彼の真剣な表情に、ぽかんと口を開ける。
