*
風にはためくカーテンをかき分け、教室の窓から校庭の様子を眺める。
外ではグラウンドへ出た滉平君が、サッカーウェアを着た男子生徒と共にゴールを組み立てている。彼だけ体操服のジャージを着ているところを見るに、先ほど話していた通りヘルプで頼まれて練習に参加しているのだろう。
「風間滉平が気になるか?」
「うわっ!?」
突然隣に織也くんが現れ、私は驚いて肩を揺らす。
「織也くん、仕事は?」
「今日はない。帰ろうと思って一組の前通りかかったら、お前がぼっちで校庭見てるからさ」
彼の左手には高級カフェチェーンのタンブラーが握られている。『相変わらずおハイソなものをお飲みで』などと揶揄しようか悩んだが、三倍返しに遭って傷付くのも嫌なのでやめておく。
「風間くん、今朝通学途中に知り合ったんだ。織也くんに聞くのもあれだけど、彼も名前があるから……その、『攻略対象』ってことだよね」
いくらゲームの中とは言え、知り合った相手を名前のあるなしで分類するのは気が引ける。
若干の後ろめたさを抱きながら尋ねると、「まあ、そうだろうな」と織也くんは涼しい顔で頷いた。
「あいつのスペックからしても、間違いねえだろ」
「スペック?」
「言い換えればステータスのことだな。ほら、主人公の相手役が何の取り柄もねえ奴ばっかだったらつまんねえだろ」
「確かに……」
風にはためくカーテンをかき分け、教室の窓から校庭の様子を眺める。
外ではグラウンドへ出た滉平君が、サッカーウェアを着た男子生徒と共にゴールを組み立てている。彼だけ体操服のジャージを着ているところを見るに、先ほど話していた通りヘルプで頼まれて練習に参加しているのだろう。
「風間滉平が気になるか?」
「うわっ!?」
突然隣に織也くんが現れ、私は驚いて肩を揺らす。
「織也くん、仕事は?」
「今日はない。帰ろうと思って一組の前通りかかったら、お前がぼっちで校庭見てるからさ」
彼の左手には高級カフェチェーンのタンブラーが握られている。『相変わらずおハイソなものをお飲みで』などと揶揄しようか悩んだが、三倍返しに遭って傷付くのも嫌なのでやめておく。
「風間くん、今朝通学途中に知り合ったんだ。織也くんに聞くのもあれだけど、彼も名前があるから……その、『攻略対象』ってことだよね」
いくらゲームの中とは言え、知り合った相手を名前のあるなしで分類するのは気が引ける。
若干の後ろめたさを抱きながら尋ねると、「まあ、そうだろうな」と織也くんは涼しい顔で頷いた。
「あいつのスペックからしても、間違いねえだろ」
「スペック?」
「言い換えればステータスのことだな。ほら、主人公の相手役が何の取り柄もねえ奴ばっかだったらつまんねえだろ」
「確かに……」
