今年ハイクレックス株式会社に入社した新入社員は約50名。割合は男性がほとんどで、数少ない女性は軒並み大卒もしくは院卒の技術職として就職した人ばかりだ。
自分のように専門学校を卒業した後に企業の事務職として就職した女性は一人しかいなかった。
「とは言え、私がそんな部門で大丈夫なんでしょうか……? ゲームって、ソリティアくらいしかやったことない気がするんですけど」
「え!? 君まだ二十歳だよね!?」
ゲームの経験に年齢は関係ないような気がするけれど。
想像以上に驚かれてしまい、申し訳なさと恥ずかしさで萎縮する。
「高校までは部活に打ち込んでましたし、専門時代も特にゲームをする機会がなかったのでなんとも……」
「そっか……まあそんなこともあるか」
人事はわずかに表情を曇らせた後、「それでも」と笑顔で返した。
「今回の辞令は有明さんにとってきっといい経験になると俺は思うよ。多分、君が志望していた事務の仕事より、何倍も君の将来のためになると思う」
私をなだめすかすための社交辞令に聞こえなくもなかったが、辞令を受け取ってしまった以上「そうですか」と相槌を打つしかない。
「ま、細かいことは横江さんに聞いてみて。彼女、この部署ができた時に真っ先に手を挙げたメンバーだから。きっと分からないことがあれば詳しく教えてもらえると思う」
自身の口ぶりに満足したのか、人事はやけに晴れ晴れとした表情でドアを開けた。
「旧アムールゲームス部は六階の角にあるからね。頑張って!」
自分のように専門学校を卒業した後に企業の事務職として就職した女性は一人しかいなかった。
「とは言え、私がそんな部門で大丈夫なんでしょうか……? ゲームって、ソリティアくらいしかやったことない気がするんですけど」
「え!? 君まだ二十歳だよね!?」
ゲームの経験に年齢は関係ないような気がするけれど。
想像以上に驚かれてしまい、申し訳なさと恥ずかしさで萎縮する。
「高校までは部活に打ち込んでましたし、専門時代も特にゲームをする機会がなかったのでなんとも……」
「そっか……まあそんなこともあるか」
人事はわずかに表情を曇らせた後、「それでも」と笑顔で返した。
「今回の辞令は有明さんにとってきっといい経験になると俺は思うよ。多分、君が志望していた事務の仕事より、何倍も君の将来のためになると思う」
私をなだめすかすための社交辞令に聞こえなくもなかったが、辞令を受け取ってしまった以上「そうですか」と相槌を打つしかない。
「ま、細かいことは横江さんに聞いてみて。彼女、この部署ができた時に真っ先に手を挙げたメンバーだから。きっと分からないことがあれば詳しく教えてもらえると思う」
自身の口ぶりに満足したのか、人事はやけに晴れ晴れとした表情でドアを開けた。
「旧アムールゲームス部は六階の角にあるからね。頑張って!」