(ま、間に合った……!)

 息を切らして席につく。
 隣の席に既に座っていたきららちゃんが「おはよう、海羽ちゃん」と声をかけて来る。

「きららちゃん、おはよう」
「びっくりしたよー! 滉平と一緒に教室に入って来るんだもん。もしかして朝チュンってやつ?」
「違うから! あとそういうのきららちゃんにはまだ早い!!」

 全力で否定する私の様子を見て、彼は楽しそうに笑う。

「それよりも今日、五時間目の後に球技大会のチーム分けするんだって」
「球技大会?」
「うん。今月下旬にやるんだよ。クラス対抗でトーナメント戦するの。新学期だから生徒同士の親睦を深めるって意味もあるみたいね」
「そうなんだ。球技、そんなに得意じゃないから足引っ張らないと良いな……」
「心配しなくても大丈夫だよ。確かに全員参加だけど、大抵運動部の人達が活躍してくれるから。それに、きららも運動は苦手」

 励ますように言ってくれたきららちゃんの言葉に、高校時代の運動会を思い出す。確かに私が高校生だった頃も、クラス対抗リレーや徒競走など大抵の競技では運動部の活躍が紅白各チームの主な得点源となっていた。

「そっか、なら良かった」

 安堵の気持ちを抱えながら、私はちらりと前方を盗み見る。一番前の席に座り、風間くんはクラスメイトの男子に囲まれてお喋りをしていた。