(あ、あの人!)
振り返ると今朝横断歩道で出会った青年が、スマートフォンをいじりながら歩いている。
周囲の女子生徒は、彼の行く先を熱のこもった視線で見送っていた。
「あー、織也かあ」
さして興味もなさそうに、きららちゃんは呟く。
「いつの間に海外から帰って来てたんだろう」
「私、今朝あの人に会ったよ」
「嘘!?」
私の言葉を聞くや否や、彼女は驚いてフォークをテーブルに置いた。
「ちょっと、詳しく教えて。そうだキスした? ねえキスした?」
「どうしてそんな展開になるの!?」
詰め寄る彼女を落ち着かせようと、私は今朝の出来事を話した。
「転校初日に真っ先に出会った相手が織也だなんて……それ、絶対に運命の出会いだよ」
「いやいや、だから私はただ助けてもらっただけだって……」
余程恋バナが好きなのか、きららちゃんはうっとりとした面持ちで両手の指を胸の前で絡める。半ば諦めにも似た気持ちを抱きかけた時、ふと彼にお礼を言っていなかったことを思い出した。
振り返ると今朝横断歩道で出会った青年が、スマートフォンをいじりながら歩いている。
周囲の女子生徒は、彼の行く先を熱のこもった視線で見送っていた。
「あー、織也かあ」
さして興味もなさそうに、きららちゃんは呟く。
「いつの間に海外から帰って来てたんだろう」
「私、今朝あの人に会ったよ」
「嘘!?」
私の言葉を聞くや否や、彼女は驚いてフォークをテーブルに置いた。
「ちょっと、詳しく教えて。そうだキスした? ねえキスした?」
「どうしてそんな展開になるの!?」
詰め寄る彼女を落ち着かせようと、私は今朝の出来事を話した。
「転校初日に真っ先に出会った相手が織也だなんて……それ、絶対に運命の出会いだよ」
「いやいや、だから私はただ助けてもらっただけだって……」
余程恋バナが好きなのか、きららちゃんはうっとりとした面持ちで両手の指を胸の前で絡める。半ば諦めにも似た気持ちを抱きかけた時、ふと彼にお礼を言っていなかったことを思い出した。