国語に数学、現代社会に英語と教室では淡々と授業が行われた。一度卒業しているのに再び授業を受ける感覚はなんとも奇妙な一方で、いざ教科書を開いてみると過去に学んだことはすっかり頭から抜け落ちていることに気付く。

 何のためかも分からないが、何もしないでいるのも不自然なので鞄に入っていたノートに黒板の内容を書き取り、時折こちらに微笑みかけるきららちゃんの視線に答えつつ時間を過ごした。

「ーーでは、今日の授業はこれで終わりにします」

 やがて昼休みを告げるチャイムが校内に鳴り響き、教室にいた生徒は昼食を取るべくそれぞれの場所へ散って行った。


「ごめんね、お弁当持って来てたのに」

 校舎から渡り廊下で繋がっているカフェテリア。
 注文したパスタをトレーに載せ、私はで待つきららちゃんの元へと戻った。

「ううん。きららもカフェテリアでお昼ご飯食べるの好きだから大丈夫」
「確かに綺麗だもんね。ここ」

 木目調のインテリアで統一されたカフェテリアはガラス張りの窓から明るい陽射しが差し込み、開放的な雰囲気だ。
 転校生だから珍しく感じているのだろうか。私とお昼ご飯を食べられることがさぞ嬉しいと言った様子で、きららちゃんは弁当の包みを広げた。